12/29/2012

Japan 2013

冬眠しようと思ったが、歳のせいか思うほど寝つけない。昼から酒をかっくらった
り子供たちと遊んだりしているが、夜も更けるとやることがない。昨日までであれ
ば無論仕事だが、この2日間それを禁止して(されて)いる。残されるはあまりな
く、是非もなく文字いじり、以下、いつもより高飛車ながらつれづれと。
過日の衆議院選挙、自民党が圧勝した。民主党の大敗、野田さんの責任であること
は事実であり、党代表を即刻辞任された。男子たるべきものの過酷な1年を過ごさ
れた、暫くゆるりとお休み頂きたい。貴兄は歴史に残る政治家となった。野田さん
が次期選挙戦もナントカなると思いながら消費税を上げたと思っていた輩は日本に
ごまんといてこたびの敗戦を喜んでいるかもしれんが、僕は貴兄と多分共通して、
まったく忸怩たる思いでおる。鳩山さん、管さんと、論外の人物が首相として2年
続き、どちらにしても次期選挙戦で負けることが分かっていたこともあるが、民主
党が施策した3年間の政権で、歴史に残るは貴兄の増税だけじゃ。ようやってくれ
た。未だ見ぬ子供や孫、ひ孫が所有するであろう仮想クレジットカードを使って生
活をしているような国。党をぶっ壊してでも断固実施された貴兄は、小泉さん以上
であるかもしれない。これは多分に自民党の皆さんも同じ思いであろう(笑)。1
00年後の教科書には載らぬとも、城山さんのような小説家が現れて、100年前
の、2大政党とはいったいなんぞやというここ一年の野田解釈を、広く未来の日本
国民に知らしめてくれるであろうことを期待する。
さて新政権。願わくば、野田さんが自民党に移籍・・・はさすがに無理があるだろ
うなア。安倍さんは前回に比べると、武士らしきお顔になっておられる、期待。キッ
クオフの組閣、まずはとても面白かった。暫くは、力強く数点の政策にフォーカス
した政策をお願いしたい。1)外交、2)財政、3)憲法。これだけで2,3年は
あっという間だ。
1) 鳩山さんが日本の国際的スタンディングをまったく不必要、不如意におとしめ
てしまったあたりを、極東に位置するユニークネスを最大限に活用し、1年かけ
て回復。四半期に一度は、うるさがられてもワシントン参りじゃ。これをしない
と、安倍さんの理想では防衛費がどんと増える。そんな金は孫にもない。経費なん
ぞはタダみたいなもんじゃ。とはいえ、6月までは対アジアは慎重に行かねばなる
まいが。
2)野田さんが確保してくれたVAT財源をいかに使うか、または使わざるか。政局
的には、来年6月までちょっぴりばらまくは手はあるが、6月以降はみなしっかり
と観ておるよ。一国内の政策でデフレを万全解決できるような時代ではないのであ
るから、やはり1)がプライオリチー。オバマさんに、円高がUSAに不利になると
いうストーリーを無理やりつくるは・・・無理があるかもしれんが、90円までは、
見てみぬ振りしてもらうような外交が肝要。92円になったら逆に日本政府が円買
いするよ、位の前フリ演技は無論必要。
3)これはまず平和に参院で勝たねばならぬなあ。その頃、支持率は大分落ちてい
るであろうが、解散ちらつかせて(実際にやってはいけない)でも進めねば、なん
のための2次内閣か、安倍さんの集大成じゃ。多少腕力をちらつかせてでも、もう
オフィシャルなカタをつけねば、老大国日本のスタンドする位置はずるずると後退
し、国際的雑魚あつかいになるは10年かからん。英国キャメロン首相あたりとの
良きお付き合いは、国際世論を味方にするための鍵となるやもしれぬ。日本は極東
という物理的な位置を最大限に活用しながら、外交的にはそこから1,2馬身ほど
欧州(老国クラブ)よりに身を置き、更なるアジアの変わり種になるべし。
---
安部政権、右傾を心配するむきがあるそうだが、そもそも偏っていたあたりを国際
標準に調整するだけのことであり、心配するほどのことでは無し。

12/25/2012

Merry Christmas 2012

いつぞや WII というゲーム機の事をここで書いたように記憶しているが、これ
を仕入れた頃は、やもめ暮らしであった。最近5歳の長男が、この白いのはいっ
たい何だというので、そういえばWIIがあったなあと数年ぶりに電源を入れてみ
た。マリオカートというゲームで遊ばせて見たところ、下手ではあるが結構いけ
る。光陰まさに矢の如しかと思いつつ、新しいゲームなんぞはあるかいなアと、
午後からそろり街へ出かけた。彼もついてきた。残念ながら面白そうなのが全く
無い。もう新作がでるようなゲーム機では無いのだろう。ところが拾う神あり、WII
Sports というのが在庫にあった。これは WIIの一番最初のゲームソフトであり、
名作である。以前持っていたが、立つかたたぬかの頃の小さな長男の餌食となり、
傷だらけ、Cannot read でゴミ箱行きとなっていた。早速これを仕入れて遊ばせ
てみたら、ボクシング・ゲームをたっぷり1時間、飽きもせずにWII コントロー
ラを汗だくになって振り回していた。5歳の坊主を翌日筋肉痛にできるゲームは、
名作以外のなにものでもない。
さて師走。1年をふりかえってみることが必要だとすれば、振り回された年だっ
たなあと思う。決して根から能動的な者ではないので致し方なしとも思うが、少
々不甲斐ないなあとも思ったり。路線を変えてみようかなどと思うが、50にも
なればそうひょいと変われるものでもない。天に任せるが良し、さほど無理せず
来年もじわじわと動くのがよろし。それにしてもここ数週間、就寝時間 + 2時間
(飯・便・風呂)以外は、これ全部仕事、という日々が続いていたので、この生
活をそろそろオシマイにし、暫く冬眠したいと思う。即ちクリスマスでもあり、
酒でもかっくらってだら~と年末年始を過ごしたいなあと思っている。英国は雨
の時期なので、南国にでも行って太陽にあたりたいなあと思っていたが、仕事で
うだうだしているうちに、もうチケットなんぞ全く無いそうだ。やはりかっくらっ
て寝るしかない。理想的な父親像とは全く反対側のオヤジがそこにべろりと寝そ
べっているだろうが、天の意思とは、だいたいそんなところにあるのではなかろ
うかいな。仕事とは単なる自己満足である、とまではまだ誰にも言われたことは
無いが、言われてしまったときにどう答えられるかを、正月のだらだらの課題に
しようか。
メリークリスマス & 良いお年を。

8/26/2012

Border Agency Audit

たまには役に立つかもしれないノウハウを記そうと思う。最近、Border Agency
による外部監査が実施された。その内容は、おおむね以下のようなものであった。
---
UK内オフィスの数と各アドレス
全社員数、スポンサー制にてVISAを取得した社員数(以下の監査はこれら社
員が対象)、フルタイム・パートタイムの割合
保管しているパスポート、VISAのコピーを提示せよ
パスポートやVisaのコピーの取得・保管方法、及び、これらの期間切れをど
う処理しているか述べよ
欠勤の際のプロシジャーを述べよ。また、最近の欠勤一覧表を提示せよ。
年間の有給休暇日数、および、病欠や特別休暇等の規定を述べよ。
社員の最近3ヶ月のペイスリップのコピーを提示せよ。
規定している社員ベネフィットがあれば述べよ。
採用時に実施したユーロ内での求人広告のコピーを提示せよ。
社員の自宅住所 をどのように保管しているか、また移転の際のプロシジャーを
述べよ
スポンサーにてVISAを取得した社員が辞職した際のプロシジャーを述べよ
その後、実際の社員と10分程個人面談。Are you happy with the company? と
いう質問もあったそうである。
---
これで3度目の監査。その目的が大体見えてくる。
- スポンサー制にてVISAを得る際に提出した各種書類に虚偽が無いこと、
または取得後に発生した事象があった場合でも、それらが取得時の条件を満たし
ていること(年俸が下がるとポイントが減る等)。
- ゾンビ社員が存在しないこと。マネジメントが社員の出勤・欠勤、仕事場所、
自宅住所(履歴を含めて)を常におさえていること。
- Boder Agency への定められた(辞職時等)報告を実施していること。
監査内容は、いずれもリーズナブルなものであり、普通にHRを経営していれば、
日々実施しているものであろう。しかし、ものごとが監査対象になると、実施して
いることの証拠を提示できる仕掛けを、常に走らせておく必要がある。これを怠る
と監査官の面前で、書類やファイルを探したり、結局時間切れ、などという事にな
る。情報はなるべく一元管理して、その availability を高く保ち続けるが良い。
ちなみに当社では ExHRというITシステムがその役割をはたしている。社員情報デー
タの保持、変更、履歴、パスポートやVisa期限切れの自動警告、欠勤申請、承認、
一覧表、等々を即時に提供する。監査官、にやりとしていたが、ずばり、"List
for Border Agency"というボタンもある。これ一クリックで、上記の半分近い監査
対象を説明できる。上記監査中、書類での提示はゼロ、全てプロジェクターを使用
してエビデンスの提示を行い、個人面談含めて1時間弱、Aの100点を頂いた。
自慢話は見苦しいが、ExHRは当店のSME向け商品でもあり、宣伝させて頂いた。大
変シンプルかつ重宝な一品、ぜひお試しいただきたい。

3/15/2012

Wireless

明治の、どうだろう、10年前後に僕が生まれていたら、というやっ
てはいけない過去完了時制に対する if をしばしば夢想する。無論、
十中八九どうにもなっていないことではあろうが、万が一の当たりを
思ふて、あれこれ空想するが博打を打つ者の常である。
木村駿吉という立派な無線技術者がおった。ひと昔前にアマチュア無
線などを楽しんだおじさん・おばさんであれば、誰もが知っている物
理学者。1890年代後半、アメリカに渡りエール大学で学んだという国
際派は、その後、日本海海戦における、合戦前・及び合戦中の、無線
技術による情報伝達、という世界的な最前線の技術を駆使しての情報
インフラを設計し実装し、実戦に役立てた。実に偉大な功績であった。
司馬遼太郎さんの’坂の上の雲’では、合戦が終わったあとに、秋山
真之がわざわざ礼を伝えに訪ねたと、いう司馬さんならではの、技術
というものを尊重した名シーンがある。
それ、当時紅顔の青年であれば、木村駿吉氏の直弟子のさらに助手ぐ
らいにはなれなかったであろうか、と思ふわけである。歴史には残ら
ぬであろうが、木村氏の実験を一手に引き受けた精鋭の若手技師が研
究所にいた、とか、それ位の記述には引っかからなかったかなあと夢
見る。その仕事はとても面白く、寝食・人間関係は二の次、ぞっこん
突っ込めていたであろうことは、自分の性格から容易に予想できる。
モノを創るということを、幼少のころから楽しんできた。明治ではな
く、現代のようにモノが溢れていても、どこかに隙はあると思う。王
道ではなく、隙ぐらいしか狙えないあたりが、現代のつまらなさでも
あるが。
初めて社会人となったとき、ある会社に丸3年間お世話になった。技
術的にも社会的にも、様々な勉強をさせて頂いた。一度雇ってもらっ
たからには、その組織の利益に貢献する前に去るは卑怯である、とい
うポリシーは学生時代のバイト生活を通じてすでに僕のものになって
いたのだが、きちんと納得できるほどの利益を貢献する前に去ったこ
とは、まことに申し訳ないことをしたと、今でもしばしば思い出して
は悔やむ。木村駿吉氏は、海軍を退任後、日本無線電信電話会社とい
う組織の取締役に就任された。その組織は、僕がお世話になった会社
の前身にあたる。

3/04/2012

Guitar

歌がうまいなあとか、重いドラムスだなあとか、音楽はこれ、演る方
も聞くほうも何千何万の違ったセンスがあって、芸術としてもビジネ
スとしても、この世にうんと永く存在し続けるだろう。
7,8歳の頃だと思うが、なぜか父親が母親のバースデーにガットギ
ターをプレゼントした。TAB譜もついていて、”さくらさくら”がその
一曲目だった。音楽というものを意識しはじめるきっかけになった出
来事だったかもしれない。金に余裕のある家庭ではなかったが、音楽
というところでは、贅沢をさせて貰った。物心がつく頃には、コロン
ビア製のステレオがあった。年に1,2度は音が出なくなり、電気屋さ
んが来て真空管を交換する。古い真空管の処理は僕が(無理やり言っ
て)係であった。単に、思い切り向こうに投げるのである。着地と同
時に、パンッと乾いた破裂音がする。抜群に楽しい行事だった。
CDは当然存在しない時代。クラシカルのLPが大多数だったように
思うが、僕はもっぱら母親の好む、エルビス・プレスリー、トム・ジョー
ンズ、ベンチャーズ、越路吹雪(?)、などのLPを何度も何度も聞いた。
母親は小さな僕の手を引いて、エルビス・オン・ステージなどの映画
にも連れて行ってくれた。そしてベンチャーズのコンサートにも連れ
ていってくれたのだ。1970年前後と思うが、僕のふるさとにある函館
市民会館にも、彼らは来てくれたのである。それまではヴォーカルが
無く楽器だけというので、さして気合をいれて聞いていなかったが、
コンサートは実に強烈そのものであり、一気に楽器演奏の世界に興味
が移った。年上のお兄さん達にはフォークソング全盛の時代だった。
なので吉田拓郎さんのアルペジオを勉強してギターというものを本格
的にはじめたが、同時にラジオで洋楽のみのトップ10音楽番組を兄
貴に教えてもらい、これを聴き始めた。
ここで僕は、 Led Zeppelin の4枚目の作品に遭遇してしまった。
Black Dog という、彼らの残した作品のトップと言えるかどうか分か
らぬが(あまりに名曲が多い)、ヒットしたシングル。ここで電気ギ
ターに行くは当然の帰結であるが、とはいえ、Zeppelin というのは演
奏するには技術的に全く楽ではない。なので、現実のバンドでは、矢
沢永吉さんのCarol とか、キャンディーズや演歌等を演奏し、小銭を
稼ぐ数年となった。
その後上京。仕事をしながらバンドは続けていた。オリジナル曲を作っ
たりして、もしかしたら吉祥寺とか高円寺のライブハウス位には出演
できるのではないかと本気で、実に本気で思っていた頃、ベンチャー
ズがたまたまラジオで流れた。キャラバンという曲だったと思う。自
分には、楽器演奏でメシを喰うような実力は無いと、はっきり覚った
瞬間だった。同じ曲を何度聞いても、なにを感ずるかは、その時々の
感受性で大きく違う。楽器に行こうと思ってから、楽器は無理だと思っ
たこの間、ちょうど10年程の年月が流れていた。
とはいえ、我が家に現在、Gibson社の Les Paul というモデルのエレ
キギターが一本鎮座している。木目がとても綺麗なものである。まっ
たく弾いてはいないのだが、なぜだか年に1,2度は弦を全て新調す
る。

2/20/2012

Up

例によって新しい映画ではないと思うが、 Up というディズニー映画
を最近子供と共に観た。ここのBlogサイトにはアンチ・ディズニーが
割と多いのだが(笑)、なかなか面白かったよ。亡き妻と共に夢見た
遠い絶景の地で持ち家。立ち退きを迫られた都会の持家を、独り者と
なった爺さんが、一瞬のひらめきでもって、多量の風船で一軒まるご
と空中に浮かばせ移動して実現する、という楽しいアドベンチャー物
語。
実際の家一軒の重量というものは、いかほどのものになるものか見当
もつかぬが、ヘリウムガス風船を千個つなげようが1万個つなげよう
が、現実に浮かばせることは不可能であろう。
ところが、僕とその家族の現在の居住空間は、似たようなものなので
である。何十年も地上3階建ての建築物であったものに対して、地下
階を数年前に追加した結果の地上1Fと地下1Fを跨ぐもの。昨夏に
は、通りの別の建物で、同じような工事が始まり、数ヶ月には無事完
成した。時々そろりと横目で現場を眺めていたが、実に興味深いもの
だった。
安全な橋を作るとか、鉄塔を建てるとか、同じ技術屋であっても、電
子回路やソフトウェア設計屋からはまったく見当がつかないスケール
の仕事をされているのが建築・土木の設計屋さんであり、シンプルに
感心するしかない。かくして建築工事現場の見物は、僕の楽しみの一
つとなっている。
地上階を崩すことなく、どうやってその土台を補強しながら同時に地
下を掘って新しい3次元空間を創造するものか、その段取りは緻密な
ものであろう。地震がある地域とそうでない地域では、その強度基準
も費用も大きく違うであろう。工事の最中に地震や水漏れが発生する
というリスクも、無論計算済み。いずれにしても、はじきだした強度
設計や安全係数には、ほぼ絶対に近い裏づけが無いと、そうそう安易
に着工できるものではないだろう。万一、家が崩壊したら人が死にま
すからね。ちょろちょろとしたIT関連の設計の世界しか知らない僕
には恐ろしく、大したものだと思うしかない。人命の関わる医療関連
のサイエンティストやその関連IT技術者さん達も、毎日胃を縮ませ
ながら仕事をされていると容易に想像がつく。本当に、ご苦労様とし
か言い得ない。
この映画では、ちょっと頑固な独り者爺さんと、たまたま知り合いに
なった太っちょのアジア系少年が主役である。このプロットは絶妙で
あり、 "Up" という明るくポジティブな題名は、とても良いと思う。
しつこくなるが、明るく行きましょうや。

2/16/2012

Writing

タッチタイプの有用性を以前書いたが、僕の愛する日本の小説家で、
原稿をキーボードで叩いている方は、まずおらんだろう。というか、
悲しいかな、おおかたすでに死んでしもうた。保守化ということも以前
書いたが、読み物も典型的なその対象であり、文学ということでは、
ここ何年も開拓が無いに等しい。日々のにぎやかなニュースも日経だ
けは読むようにはしているが、まったく面白くない。疲れた目で寝る
前の数分読むものといえば、マキャッベリであったり、なぜか技術書
のソフトウェア作法とかプログラム書法など、いずれも古典ばかり。
これら著者達を永遠の思想的友人と勝手に思いこみ、幸せな気分で床
に入る。もしタイムマシンがあったら、おいしい葡萄酒でも手みやげ
に、ピスタチオでも齧りながら、ゆるりと彼女・彼らの薀蓄をお聞き12 Jan 2014
したいものである。
こうしてブログなどで、駄文を起こす者にとって、筆一本でどうして
その長大な起稿なり推敲なりをされておられるのかと、畏怖さえ感じ
る。作品群が素晴らしいだけに、彼女・彼らの文章に関する直感力に、
ただただ恐れ入る。僕にも、少年のころの遊び作りや、社会人になっ
てからの電子回路・システム設計、ここ10年の起業・企業仕事など
を通じて、ゼロからモノを作りあげることの苦しみは多少共感できる
かもしれないが、まったく比較にならない、そして永遠に残るであろ
う質の表現を生み出すのが文章のプロ達である。だからこそ、人を
moved させ、広く知られるということになるのであろうが、いやはや
同じ人間でありながら・・・と驚嘆するしかない。
しつこくなるが、寝る前に同じ小説やら歴史モノを何度も読む。これ
は、TVの水戸黄門シリーズ(残念ながら最近終わってしまった)に
似て、ハピーエンディングが完全に分かっているという保守的な安心
感があるのかもしれないが、実はそうでもなくて、何度も何度も読み
返すマキャッベリの一行に対して、覚える共感の度合いとか、僕のま
わりの現実に照らしてみた例とかが、毎回違うのだから面白い。良き
書き物とは、読み手のそうした毎日の心理の違いでさえも前提にして
工夫をされているのかと思うと、その深さにゾッとする。無論、例え
ば僕の敬愛する塩野七生さんなど言わせれば、あなたプロに向かって
馬鹿言わないでよ、などと一蹴されるのであろうが。

1/22/2012

2012

新年早々、仕事で急遽一週間ほど東京へ出向いた。年々時差ぼけがひ
どくなっており、ホテルで真夜中に長い時間仕事をするはめになる。
12平米のシングル部屋はキツイので、こたびは銀座にある、多少広
めの部屋を持つホテルを試してみた。スーツケースをジャンプする必
要は無く、客層は穏やかなのか、真夜中に大声で歌いながら部屋に入
る兄ちゃんはおらん。ワイン屋は徒歩10秒、コンビニは徒歩1分。
良し、気に入った。今後も暫くここを利用することになるだろう。
歳を重ねると共に保守的になってきているのがわかる。一度良しと思
えば、それ以上の事はどうでもよくなってしまう。これはよくないと、
思ってはいる。四歳の長男は好奇心の真っ只中、天下一のいたずら坊
主の称号を最近両親から授与された。家では日本語の長男が、英国の
幼稚園で覚えてきたセンテンセスは、"Sit down!" と "Go away!"であ
り、先生や同級生に shout されている図が浮かぶ。他方これはうらや
ましい限りである。何事もやってみなければ、という意思はあるのだ
が、坊主の名誉とはもう比較にならぬ。
枯れたオヤジの回想録となるが、若い頃は、ここに書くは躊躇すべきこ
とも含め、どっぷりと突っ込んでいくという興味の対象がたくさんあっ
たなア。小学時代、新聞店でのバイト給料(不法なるも時効)は、フィッ
シング道具や音楽関連につぎ込まれた。小さなステレオを月賦で仕入れ、
LPを買い、直ぐに擦り切れる高価なダイヤモンド針を替えた。中学
になると、自転車の大改造と洋服(アイビーが流行した)。高専時代
は、サッカー、バンド、アマチュア無線、そしてオートバイ。無論こ
の間、女の娘などは大いに含まれる。中学時代にアマチュア無線資格
を既に取得し、かつ英語が多少できるという、とんでもない男が同年
にいた。これはやらねばと思ったが、20年かかって後者を含めなん
とかした。凝り性ではあったと思う。これら道楽は全て金のかかるこ
とであるが、親の説得やバイトやパチンコ(これ重労働)を通じて、
交渉や仕事をして収入を得る面白みを10代で体ごと知ることができ
たのは、実におもしろきことであり、これらはその後の僕の仕事論に
影響しているのであろうかなあ、と思う。
歴史小説に出てくる50歳前後の偉人たちは、取り掛かっている仕事に
ドップリ浸かっており、道楽の時間は無いように読める。とはいえ、道楽
につながる好奇心とか探究心は、持ち続けていたのでは。これがないと
石頭となり、暮らしが暗くなる。
51度目の正月。時差ぼけをはじめ、さまざま衰えるところが多いの
は自然のいたすところ是非も無し、せめて気の持ちようでもって不自
然にでも若返るべきところは、意識して活を入れていこうと思う。謹
賀新年、とにかく明るく行きましょうや。