10/05/2008

Bath

ささやかな至福の時、というのは人によって千差万別であろう。人並
みに僕にもいくつかあるが、一つは長風呂で読書というのがある。お
かげで書棚の本は水をかぶって殆どへろへろ、ぼろぼろであるが、読
めさえすれば姿はどうでも良しと思ふている。最近、”逆読書法”と
いう本を読んだ。最終章だけはアゲインストであった。すなわち、本
は大切に扱うこと、そうした親の姿勢を見て子供は本を読むようにな
る、とのことであるが、僕は本をある程度大事にしている親の姿は見
ていたが、子供の頃には一切本は読まず、まともに読み始めたのは単
身上京し社会に出て、人並みに困ったことが発生しはじめてからのこ
とだった。この章だけは僕にとっては一般解とはなりえないが、とて
も面白い本だった。
風呂の入り方というのも人により千差万別であろう。日本から英国に
越してくると、はて、どうしようかと考えてしまうモノの中に、風呂
はまず筆頭の位を占めるのではないだろうか。湯船の深さは浅く、縦
に長く、寝そべるようにして入浴する。洗い場が無い。不衛生なこと
に、厠が隣に鎮座する。しかし入浴せぬわけには参らぬから、各員、
創意工夫することであろう。
開発過程は省くが、僕の風呂を紹介しよう。まずはスーパーに行って、
Dettol Liquid という液体を購買する。いまどきはカラフルなものも
売っておるが、オリジナルの、茶色のものをお勧めする。次に、風呂
用の塩を購買する。家に戻ったら、欧州式湯桶にお湯を貯め、水が8
割ほど溜まったところで入浴用の塩を適量注ぎかき回す。次に、
Dettleをキャップ一杯分を湯桶に注ぐ。すると、あら不思議、茶色の
液体が白濁する。この刹那にて、僕の入浴法は多分、半数の方には嫌
われるであろう。なにしろ、懐かしいクレゾールの臭いがするからであ
る。
こうして準備ができたら、ざぶりと入り、めがねをかけて、本を読む。
手の届く範囲にタオルを置き、曇っためがねを拭う。なるべく体は動
かさぬほうが良い。動くと湯が冷めるやすい。近頃は、いつでもお湯
が出る瞬間湯沸器によるボイラーも多くなったが、まだまだタンク式
のものも多い。この場合、一度湯を貯めると、小一時間待たぬと湯が
でない。なので、じっと湯に浸かりながら、ひたすら読書する。これ
を小一時間も続けていると、耐えられなくなるぐらい湯が冷える。し
かし、その頃にはタンクの湯も熱くなっており、余裕で足し湯が可能
となるものである。こうして長風呂し、足の裏が白くヘロヘロになっ
たころ、読書で目も疲れていることであろう。ここで石鹸なりをつか
って湯船の中で体を洗い、水を抜きながらシャンプーする。全てが終
わる頃には、水位が随分落ちているので、シャワーでほぼ全身の石鹸
を落とすことができる。Dettolの邪道な使い方であろうが、体は消毒
され、なぜか風呂上り後も暖かさが継続する。世の中うまくできてい
る。

10/02/2008

Bailout

三越ロンドン店が閉鎖になるそうだ。日本人旅行者には、なかなか便
利だったし、地下レストランのざる蕎麦が抜群においしかったので、
大変残念に思っている。
9月には大手の金融企業が複数破綻した。米国を中心に、英国やベル
ギー、アイスランド等でも大手の金融企業がばたばたと倒れ、政府や
民間の救済を受けることとなった。価値の無くなった株の保有者には
まことに気の毒なことだが、どこの株主にも免れないリスクであり、
是非もなし。
以前にも書いたことだが、金融投資は、FSA等の政府系機関が監視の
睨みを利かせても、更にリスキーで複雑な金融メニューが日々作り続
けられ、その利用者が増え続けてきたのでだろう。例えばShort
Selling という方法があり、他人様の落ち目を利用して金儲けができ
るという。これは漸く禁止令が出たそうだが、逆に言うとこれまでは
野放しだったのであり、こういうところに早期に制限をかけることは
できないものであろうか。
産業界では、戦後だけでもオイルショックや円高等、数度の危機を切
り抜けてきた。ところが、サブプライムという単語が飛び回りはじめ
てから、1年以内にばたばたと大企業破綻が発生する。これも僕には
分からぬことだが、金融界というのは、本質的に脆いプラットフォー
ムの上で商売をしてきているような感じを受ける。そういう宿命を背
負っているのだろうか。
毎年クリスマスシーズンになると、その年のシティーの外資金融企業
のボーナスがニュースとなるが、目が飛び出るような数字の羅列とな
る。報酬なので、一度個人の懐に収まれば、その先会社が潰れようが
どうしようが知ったことではない。結局、税金を使って救済が行われ
る。その税金を払っているのは、国民と潰れていない企業である。確
かに儲けるときは儲けるのだろうが、その儲けの前提のあたりで、既
にリアリティーを失っているような感を受ける。
比すると、10年前から数々のbailoutや統合を経てきた日系金融企
業が現在持つリアリティーに力強さを感じる。外資金融に比べて利益
率の低さが指摘されるが、本来どのあたりが、今どきの言葉でいえば
”sustainable"な、適正な利益率なのか、リビューの必要を感ずべき
時なのではないか。

9/30/2008

Border Agency

以前本ブログで、外国人労働者のUK受け入れ審査に関して多少文句
を書いた。即ち、労働者本人だけではなく、雇用する企業側を審査し、
合格した企業にはそれなりの便宜を、というものであった。
実にその監査を今週受けた。UKでは今年11月から、 Work Permitと
いう長年続いてきた外国人労働許可のしくみが無くなり、代わりに
Point Base System という新しいシステムが登場する。このシステム
では、雇用主側の企業をより厳しく審査することとなった。企業は申
請書と各種証明を提出し、書類審査を経て、実際に審査官の訪問をう
ける。担当は UK Border Agency という、なかなか、いかつい名前の
政府機関だ。審査の結果は、A、B、失格という3つのクラスに分け
られ、Aは花丸、Bは要改善、失格はバツ。Aか、少なくともBを取
らねば、 11月からはEU圏以外からの人材を雇用することができなく
なる。日系企業顧客からの売上が殆どを占める当社にとって、良質な
日本人技術者の確保は生命線である。早速、手続きを進めてみた。
こうした審査には妙に気合が入る。コンサルを雇うという手もあるが、
一度は全て自力でやってみないと、その後、後進にやって見せること
が出来ない、などという大層なものではなく、どうも単に自分でやっ
てみたいという欲求が強いらしい。近頃は引退したが、従来のWork
Permitも最初の数年間は自身で雇用広告を出して、申請し、許可書を
貰ってきた。今度も社員の皆さんの力を借りながら自分で準備した。
審査官は帰り際に小声で当社のHR(人事)システムを褒めてくれた。
最終結果は数週間後にならないと分からぬので、ぬか喜びは控えよう。
合格した企業に便宜、とまでは行かないが、お墨付きが付くというこ
とで、この新しい制度は歓迎する。腕に自慢のIT技術者の皆さん、
当社の仲間達がお待ちしています。こんな宣伝していいのかしらん。
最近、社員数が30名を超えた。ひとつの目標としてきたことなので、
多少の喜びは隠せない。同時に、このサイズはひとつの壁であること
を理解しているつもりである。壁を越えるには知恵が必要だ。これも
我ら自力でやるしかない。

9/11/2008

The Exorcist

映画をボーっと見るのは好きだ。最新のものはまず見ない。DVDにな
って随分経ってから手を出す。フラガールズは最近見て泣いた。酒席
でたまたま映画の話になり、言いたい俳優さんの名前を思い出せなく
て胸が苦しく、その他のことは考えたくなく話題から一人離れてワイ
ンをちびちび考え込み、急に思い出して顔を明るくし酒席を一瞬沈黙
に陥れるようなことが、年に一度位あるかもしれない。
オカルト映画も好きなほうであろう。ただし映像の汚くないやつが良
い。一番好きなのは名作エクソシストで、今でも年に2,3度は見る。
これは汚いシーンも出てくるが、イントロが素晴らしく、ストーリー
はシンプルながら十分引き込むし、エンディングの余韻も素晴らしい。
35年も前の映画なので若い人は知らぬだろうが、単なる怖い映画で
はないのでお勧め。そういえば、数ヶ月前、瀕死のアリタリア航空
(イタリアのフラグキャリア)のCEOが、組合との交渉が決裂となり、
「この会社を救えるのはエクソシストしかいない」と捨て台詞を残し
て辞任した。日本のフラグキャリアも経営が大変そうだが、「イタコ
しかいない」などとならぬよう頑張って欲しい。
数年前にリングという映画が流行った。僕は米国版の映画を最初に見
たが、これは面白かった。ついでに小説を読んだら、これも面白かっ
たが、気をよくして2作目3作目と読んだら腹が立った。その後、日
本版の映画を見たら、こちらはまあまあだが、主演の松嶋さんは、ち
いとハマッてなかったかも。
最近、物に触れることなしに、気合でもって動かしてみようと思い始
めた。ゴーストという映画があったが、成仏できない仏が練習して空
き缶を蹴れる様になるというあれだ。テーブルの上のアップルとか、
床の上のスピーカーとか、勿論、動かなかった。練習を続けた。そし
て3晩目に突然動いた。何度か失敗するが動く。こうして今では、水
月に力を貯めてエイッ、確実に10センチ程動かせるようになった。
これは大変気持ちがよく楽しい。
無論、夢の中の話である。なぜ最近になって、このような無駄な努力
を夢の中で開始したものか、本人にも一向に分からぬ。そろそろヤキ
が回ってきたということか。読者の皆様で、このような訳の分からぬ
夢を見る方がいらしたら、是非ご一報頂き枕を高くして眠りたいと思
う。

9/06/2008

Humid

前々回の東京出張時に一人の社員が本社を去って行った。前回には、
また別の社員が一人去り、秋葉原では悲惨な殺人事件が起き、内閣は
改造となった。本社では今度の僕の出張時には何事が起こるかと噂し
ていたそうだ。そんなことあるはずが無いだろう、と笑い飛ばしてい
たら、福田内閣がいきなり蒸発してしまった。多少変な気持ちになっ
た。
都内の電車に乗っていると、否応なしに週間XX等の雑誌の派手な宣伝
が、福田総理がどうだ星野ジャパンがこうだと、たくさん目に付く。
僕は星野ジャパンの4位を予想していたので、残念という程ではなかっ
た。TV番組によく出てくる星野さんを何度か見ていたら、メダルは逃
すやろな、と直感した。そのようなことはミニ同居人にさえ伝えてい
なかったので誰も信じてくれないだろうが、この場を借りてとりあえ
ず自慢しておく。しかし、福田さんの蒸発は全く予想できなかった。
雑誌の宣伝は、おぼっちゃまは駄目だとか二世だから無責任だとか書
いている。この蒸発に肩入れする意思は毛頭持たないが、福田さんの
視点からすれば、これだけ支持率が低迷し、リーダーシップ欠如と馬
鹿にされ、折角辞めてやったのに今度は無責任かい、と言いたくなる
かもしれない。いずれにせよ、政治のことは全くわからんが、与党も
野党も、もう少々リアリティを持って仕事をすべきではないかしらん。
東京は9月に入ってもジメジメと不快な気候が続いている。20年前
は真夏でもタイしてジャケット着ていた覚えがあるから、加齢による
弱体化なのか、欧州に長く居すぎた為か、東京の気温が上昇し続けて
きたのか知らぬが、クールビズのお陰でなんとか持ちこたえている。
とは言え、やはりタイが無いと、どうも収まりが悪い。というのは、
タイを締めるべくデザインされているシャツしか持たぬので、どうも
ダサい。僕はおしゃれからは程遠いオヤジだが、これだけはどうにも
しっくりこない。初めてシンガポールに出張した時は意地でタイとジャ
ケットを通した。3日目に頭がふらふらしていたので、これは断念せ
ざるを得なかったが。カラッと乾燥した欧州の空気がそろそろ欲しく
なってきたが、来週早々帰国。

8/26/2008

Olympics 2012

ロンドンの自宅で観るオリンピックは今回で5回目となるわけだが、
様々なドラマを楽しませてもらった。次回のオリンピックはロンドン
で開催されることもあり、BBCは気合が入っていた。デジタル放送
では常時5、6種類の競技からどれか選んで観戦することができた。
無論、日本人選手の活躍は、決勝に残った選手ぐらいしか見ることが
できないが、チームGBが勝ってもチームJPが勝っても、どちらも
手を叩いて大喜び。2チーム足して金が28個も取れた。大したもの
である。それにしてもチームGBの活躍は凄かった。
日曜はテニス遊びをしていたので、閉会式はTVでは観なかったが、
BBCのサイトに動画があった。ジミー・ペイジが出てきてギターを
弾いていたので相当ビックリした。通常は、ギターで行くのであれば、
庶民派 Queenのブライアン・メイであるべきだろう。僕のZepplin
好きは並大抵のものではないことは以前にも書いたが、やはりTVの
前で立ち上がって、手を叩いて喜んでしまった。が、そのうち、はて
この白髪の、ギターが妙に巧い爺さんを知る人は視聴者のうちいった
い何%いるのだろうかと、心配になってきた。実際、ベッカムが出て
きたときには何ともなしに安心を覚えてしまった。
好みの分かれるセレモニーであったかもしれない。
BBCのサイトでは、五輪旗を受け取った後の、ロンドン市長・ボリ
ス氏のスピーチが観られるが、これが目茶面白いのでお勧め。ボリス
氏は今年の5月に市長となった。僕より3つほど若い。このスピーチ
を見ても思うが、若い政治家はまったく元気が良くて良い。前回の東
京出張時に日本では内閣改造があったが、新キャビネットの平均年齢
が62歳だそうである。英国の内閣はもっと若いだろうと思って調べ
てみたら、現在49歳であり、60歳以上は一人しかいないという。
この違いはどのあたりにあるのだろうと思うなあ。インテルという超
一流会社の社是には、常に若返りを図る、というのが何十年も前から
あるそうだ。若返らなくてもうまくやっている会社もあるし、若返っ
てから芳しくなく元に戻す企業もあるが、いずれにしても若返りを常
に念頭に置いてきた会社の方が、永続するようにも思う。
オリンピックに出場すべき選手を選ぶ方も、その判断は大変だろうと、
気の毒にさえ思える。新旧、どうすべきか実に悩むのだろうなあ、と
思いつつ、ビールを片手にTVを観て手を叩いてよろこんでいる僕は
単純に4年後が楽しみだ。もしかして、生で選手のプレーを観ること
が出来るかもしれない。テニスは、Wimbledonが会場になるのだろう
か?

8/04/2008

Quality

若い頃、法に触れることはやらなんだが、こずるいことは随分して
きた。仕事はそこそここなしてきたが、それをいいことに、酒飲む、
女泣かせる、金つかう、嫌な奴だったと思う。そのしっぺ返しか、
四十になってようやくだが、他人様に迷惑かけず、まっとうにやっ
ていこう、という思いに至りはじめた頃にちょうど当店を創立した。
一流企業にしたいという夢はそんなところに因があるかもしれぬ。
それがかなわぬまでも、一流企業と同等の備えを持ちたいと思い続
けて多少の背伸びをしてきたように思う。当社はありがたいことに
設立当初から一流企業の皆様に大変お世話になり続けており、ご愛
顧を頂いているからであり、困ったときに助け続けられてきた。僕
にとって、会社というのはこうあるべきだというお手本を見せて頂
いてきたわけで、嫌な奴、の対極にある、一流というものを勉強さ
せてもらっている。
例えば、当社が請求書を送付する。本来はそこで全く安心できない
のが残念ながらビジネス世界の実態である。が、お客様が一流企業
だと、まず安心して寝られる。そして3週間後には果報が入る(現
金が銀行に入る)。毎回毎回3週後に入る。これはすばらしいこと
であり、真似すべきことだと思った。そして当社も一流企業のマネ
をして3週目には支払いを心がけている。業者のキャッシュがきつ
いというときは、こちらに余裕があるのであれば、即金でも払って
あげる、小企業の顧客が厳しいときは可能な限り待つ。そういう関
係が永く良いつきあいを構築できるのだとおもう。勿論業績がそこ
そこでなければこうはできまいが、できるうちはそうしようと思っ
ている。
時には当社が3週間さえ待てなくなることがある。そんな我侭をよ
しよし、と聞いてくれ、支払いをさらに早めてくれる!そんなこと
あるわけねーだろ、という声が聞こえるが、実際にそうなので、こ
うした一流企業のお客様達の会社名を挙げたいがここでは控える。
まったくこうしたお客様は文句なしにかっこいい。僕らもそうなり
たくなる所以である。
今の僕らができることは、こうしたお客様から頂戴する対価を超え
るサービスを提供し続け、お使いいただくことである。一流企業で
はないけれども、一流のサービスは提供することはできる。今回、
多少旅慣れしてきた東京出張中に、当社東京本店、飲み屋、レスト
ラン等でのサービスを楽しんで観察してきた。本屋で帝国ホテルの
サービスを書いたものを入手した。皆なかなか興味深く、僕が関心
を持ってきたことの一つ、サービス品質ということに、更に関心が
深まったように思う。

7/29/2008

JPY 220

東京人が今年は厳しいと言ふている暑さの中に居る。出張前に、7月
下旬の東京は暑だろうとそれなりの心構えはしてきたが、天気予報な
どをみると、東京以上に暑い地域が日本にはいくらでもあることに気
づいた。
日本は暑い。例外として、北部の一部はそれほど暑くもない、という
のが正確なところであろう。函館出身の在英18年のぼくにはもちろ
ん残酷なぐらい厳しい。バテぬよう、毎夜ビールなどできちっと涼み
ながら、残りの出張仕事を進めようと思う。
6月に来た前回の出張は1年ぶりのものだったので、いつもどおり肩
に力が入っていたが、今回は大分東京に慣れてきたような気がする。
ざっと、その慣れ具合を並べてみよう。
- 東京到着二日目には、エスカレーターで、さほどの疑問なく左側に
すっと立てるようになった。
- 外出時は、ハンカチを常時携帯するようになった。
- 風呂がほしいと思わなくなった。
- Suicaカード(JR系)が地下鉄でも使えることが分かったので、
Pasmoカード(東京メトロ系)を返却した。こうしたカードは定期入
れに2枚重ねると誤動作するので不便だった。ありがたい。ちなみ
に、Oyster と Suica を重ねるとどうなるか、明日にでも試験して
みようと思う。
- ちなみに東京メトロとは、営団地下鉄が民営化した後の通称である
そうだ。
- 朝9:30を過ぎると、ホームの喫煙場所でタバコが吸える駅があり、
毎朝助かっている(阿佐ヶ谷)。
- 街にいる人に道順を聞かずとも、プランタン前に一人で行けるよう
になった。
同時に慣れないものがある。最もまずいのは、すべてGBPに計算し
なおしてしまい、なんて安いのだと、無駄遣いしちゃうことである。
これはなかなか直らないが、ふと気づいた。そうだ、英国に居るとき
には、いつもJPYに計算しなおし、なんて高いのだと節約すれば・・・

7/17/2008

Being wild

三島由紀夫氏の産湯の記憶を読んで、ほんまかいなと思っていたが、
女流作家が同じような体験をエッセイに書かれているのを数年前に読
んだ。将来作家となるような乳児は、すでに頭の構造がどこか違うの
だろう、ありえるのだなあと思った。
凡人の僕が記憶ということを始めたのは、5、6歳前後だと思うが、
その頃家族が生活していたのは北海道の南部にある泉沢という小さな
村だった。車で函館市から西に1時間弱走ると、木古内という町に至
るが、その一部が泉沢というなかなか洒落た地名の村落である。海と
山に挟まれたごくわずかな平地、その幅は200メートルも無い思う
が、海岸線に沿うように国道228号線が走っており、この両脇に二
百世帯もあっただろうか、小さな家屋が建ち並ぶ村だった。山沿いに
は国鉄の線路が走っており、その脇に円筒形の小学校が建ち、体育館
の裏口には教育職員住宅が3件並んで建っていた。最も線路に近いの
が僕が数年間暮らした家だった。山まで徒歩20秒、海岸まで徒歩1
分という、実にワイルドな環境だった。
夕食やら家の手伝いに無理やり呼び帰されることはあったのだろうが、
子供達が外で遊ぶのに、親がついてくるということは皆無であった。
山や川で多少危ないこともあったのだろうが、年長の子がリーダーと
なり、なんとかする。この村の子達が10歳にもなれば、万一山で一
人で迷子になっても、雨さえ降れば1週間や2週間は難なく生き延び
るだろうと思う。喰える草の茎や花の葉等の種類を知っており、蕗の
葉を使った雨水の飲み方を知っているからであり、川に出くわしたら
しめたもの、と小さな頭が覚えているからである。もっとも、ヒグマ
に出くわしたら死んだふりをするという迷信は頭に入っていたが、運
よく経験したことは無かったので、本当にワークするのかどうか分か
らぬ。いずれにせよ、当時の日本の田舎の子供達というのは、おおよ
そこうしてワイルドに育ったのではないだろうか。そんな話を都会育
ちの同居人にすると、東京でも子供達が広場で遊んでいるところを親
がいちいち見ていたということは、やはり皆無であったらしい。
我が家のミニ同居人の学校のことをそろそろ考えねばならぬという。
まだ八ヶ月だというのに。いや、生まれる前から入学予約を入れるこ
ともあるそうな。いやはや。泉沢には幼稚園も無かった。円筒形の小
学に入学したら同級生は20名だった。社会性という意味でわが身を
振り返ると、確かに若干問題があるやもしれぬ。。。とはいえ、今3
0名の社員の皆さんと組織的な仕事をさせてもらっているし、友人達
にはとてもよくしてもらっている。ミニをナーサリーに入れることが
不可欠なのかどうも分からぬが、多分入れることになるのかなあとも
思う。思うが、泉沢村で育った父には、どうにもミニが気の毒なので
ある。学校の庭で先生や親の目の届く範囲で遊ぶのもやむをえないが、
少なくとも年に2度や3度は、少年達だけで山を探検したり、川で多
少勇気が必要な遊びを経験させてあげたいなあと思う。

7/07/2008

No.2

東京の友人が Jake Shimabukuro というウクレレ奏者のCDをお土産
に持ってきてくれた。アルバム・タイトルと一曲目はThe Beatles の
In my life 。無難。ふーんと思って2曲目を追ったら Going To
California とあるではないか。えっ、と思って早速聴いてみたら、
本当にZeppelinだった。Zepを選ぶというだけで僕はこのミュージシャ
ンを一気に評価した。全曲聴いて、本当はZepを1曲目に選びたかっ
たのではないだろうかと思った。
不精なせいか保守的なせいかは知らぬが、一度好みのアルバムに出会
うと、1年程同じものを延々と聞き続くことになる。Jakeさんには暫
くお世話になりそうだ。
日曜日にはこの友人をテニスに誘い、暫くぶりに一緒にプレーした。
サーブ練習が終わって玉を集めながら彼曰く、吉田さん、玉が重くな
りましたねえ。あら、そうかなア、てれるゼ、などとひとりごちてい
たら、そうなの雨で玉がぬれちゃったア、とコーチ。本当にこのコー
チは素敵な人だ。
そして午後はビール・ワインを片手に、コーチもミニも皆でウィンブ
ルドンのファイナルTV観戦である。これをしないと一年が終わらな
い。
ジャスティンの突然の引退があって、僕にとっての今年の女子トーナ
メントは精彩を欠いた。男子はご覧になった方も多いと思うが壮絶な
ファイナルだった。なんとしてもボルグをぬいて6連覇したかっただ
ろうと思うし、僕もそうしてほしかった。世代は変わらねばならぬ、
わかっている。しかし、一回だけ待ってほしかったなア。
フェデラーのテニスは基本形の究極であり、基本形がいかに強く美し
いものかを証明し続けてきた。プロのアスリートというのは、素人が
観たいシーンを提供することがその仕事の本質であろう。フェデラー
には、その仕事にやりがいを感じ続けてほしい。急に引退することは
考えないで欲しい。ランクなどはもうどうでもよい。No.2に落ちたら、
新No.1にとって、これほど嫌なNo.2はいないであろう。そんなあたり
が素人にはとても観たいところなのである。基本の美を永く提供し続
けてほしい。